"私が鈍感なのだろうか、一見していわゆる「やくざ」とわかる患者さんが来院されることはめったにない。
点滴のために袖をまくると見事な刺青があって、初めてわかるということはある。しかし、派遣先の大分県でも、大学病院のあった埼玉県の所沢でも、そういう患者さんはたくさん見てきたので別に驚くほどではない。強面のイメージがあるかもしれないが、実際に接してみれば、むしろ礼儀正しく、言うことをよく聞いてくれる人が多い。
糖尿病の患者さんで、気のいい中年の男性がいた。事情はわからないが、ある日「先生、二ヵ月分の薬をください。これからムショに行ってきますんで」と言われて、初めてこの人の商売を知った。
彼には服薬の必要性を記した診断書もつけて、薬を渡した。答察からの電話にも病状と服薬の必要性を何度も説明した。
二ヵ月後、無事出所した彼がやって来た。
梅毒の治療①
梅毒は、先天性にしろ後天性にしろ、廃人になってしまう可能性があるので、強力な治療が必要だ。戦前は、水銀軟官、サルバルサンなどの枇素剤が用いられ、戦後はペニシリンを主とする抗生物質による治療が主体になっている。血中で持続性のあるペニシリンが、梅毒に対して効力がつよいとされている。早期の梅毒には、主に六~一二〇万単位の筋肉注射を、連日約十日くらい行なう方法がとられる。経口のペニシリン剤、アミノベンジルペニシリン剤、マクロライド、テトラサイクリンなどを用いる方法もあるが、投与量、選択の仕方には専門的知識が必要だ。
晩期梅毒にも、同じような薬が使われる。血清反応は必ずしも陰性化しない。だから、一応の治療を行なったあとは、経過観察をするだけで、血清反応が陽性でも症状が出なければ、それでよしとする場合も多い。"
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